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核なくせる日へ 共に 平和のため行動 使命 G7首脳 原爆資料館芳名録公表 広島サミット

 外務省は20日、先進7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳が19日に原爆資料館(広島市中区)で書いた芳名録の原文と仮訳を公表した。米国のバイデン大統領が核兵器廃絶への思いを記すなど、核兵器保有国の米英仏を含むG7首脳が原爆の非人道性を胸に刻み言葉をつづっている。(桑島美帆)

 バイデン大統領は、米国の現職大統領として2016年のオバマ氏に続き2人目の資料館訪問となった。記帳では「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう」との決意をしたためた。

 英国とフランスは現職首脳が初めて資料館を見学した。英国のスナク首相は広島と長崎の被爆者の苦しみに触れ「私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」と誓った。フランスのマクロン大統領は「平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命」と受け止めた。

 被爆地・広島でのサミット開催を岸田文雄首相は「『核兵器のない世界』をめざすためにここに集う」と意義づけた。ドイツのショルツ首相は「核の戦争は決して再び繰り返されてはならない」と強調。イタリアのメローニ首相は「過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう」と呼びかけた。

 カナダのトルドー首相は「多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、厳粛なる弔慰と敬意を表します」と書き込んだ。欧州連合(EU)のミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長はそれぞれ平和を堅持する大切さなどを記帳した。

【G7首脳の芳名録全文】バイデン米大統領「核兵器を最終的になくせる日へ共に進もう」

 外務省は20日、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で訪れた原爆資料館で、各国首脳たちが芳名録に記帳した内容を発表した。(いずれも仮訳)

 日本 岸田文雄首相 歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う。

 フランス マクロン大統領 感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。

 米国 バイデン大統領 この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!

 カナダ トルドー首相 多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。

 ドイツ ショルツ首相 この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。

 イタリア メローニ首相 本日、少し立ち止まり、祈りを捧(ささ)げましょう。本日、闇が凌駕(りょうが)するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。

 英国 スナク首相 シェイクスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光(せんこう)に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。

 欧州連合(EU) ミシェル大統領 80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいのか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。

 欧州連合(EU) フォンデアライエン欧州委員長 広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。

(2023年5月21日朝刊掲載)

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