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「核なき未来 着実に進む」 岸田首相訴え 広島サミット閉幕

 広島市で初めて開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は21日、3日間の日程を終えて閉幕した。議長の岸田文雄首相は平和記念公園(中区)で記者会見し、G7首脳が被爆地に集って核軍縮に特化した初の文書「広島ビジョン」をまとめた意義を強調。「悲惨な結末を何としても避けるため、核なき世界という未来への道を着実に進む必要がある」と訴えた。(樋口浩二)

 G7や招待国の首脳たちを2度にわたって原爆資料館に案内した岸田首相は、「平和の誓いを共有できた」とアピール。G7の首脳には「厳しい安全保障環境の下、国民の命を守り抜く厳然たる責任」と「核兵器のない世界という理想を見失うことなく、それを追い求め続ける崇高な責任」があると説いた。

 その上で「世界80億の民が全員、ヒロシマの市民となった時、地球上から核兵器はなくなるだろう」との思いを吐露。現実的な核軍縮の必要性を挙げた上で「核兵器を使わない、核兵器で脅さない、人類の生存に関わるこの根源的な問題を今こそ問わねばならない」と述べた。

 最終日は、核兵器を持つインドなど拡大会合に招いた8カ国の首脳や国連のグテレス事務総長たちが原爆資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花した。韓国の現職大統領として初めて広島を訪れた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は韓国人原爆犠牲者慰霊碑でも追悼した。主会場のグランドプリンスホテル広島(南区)では、招待国やウクライナのゼレンスキー大統領を交え、ウクライナ情勢などをテーマに話し合った。

 会期中、気候変動、世界経済などの討議を計9回開催。核兵器不使用の記録や核兵器数の減少傾向を続ける重要性に触れた「広島ビジョン」、全体の首脳声明など六つの成果文書を出した。次回サミットは来年6月にイタリアである。

 G7や招待国の首脳たちはこの日、広島空港(三原市)や米軍岩国基地(岩国市)から帰国の途に就いた。広島市中心部や山陽自動車道の交通規制の大半は21日で終わるが、残る首脳の移動に伴い22日午前も一部の区間で実施される。

(2023年5月22日朝刊掲載)

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