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ゼレンスキー氏献花 「将来 広島のような復興がある」 平和公園を訪問

 ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)の閉幕後、平和記念公園(中区)にある広島国際会議場で記者会見した。ロシアの攻撃を受けたウクライナの町の風景は「原爆資料館を訪れた時に見た(広島の)写真に似ている」と強調。原発が占拠されたことにも触れ「ロシアの悪と愚かさに対処しない限り、世界が廃虚になる」と支援を訴えた。

 会見に先立ち、原爆資料館で被爆者の小倉桂子さん(85)と会い、原爆慰霊碑にも献花した。会見では原爆資料館の展示資料のうち、人が腰掛けていた部分が熱線で影のように残った「人影の石」を挙げて「あの石となる危機に陥った国から来た」と説明。「人類の歴史から戦争をなくさなければならない」「ロシアへの勝利と、その後の平和が夢だ」と呼びかけた。

 日本にはエネルギーや医療分野での技術支援への期待を表明。「武器を提供できる国からはもらいたいのが本音だが、法の制約も理解している」とした。ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトについては「将来必ず、広島のような復興がある」と述べた。

 広島サミットでは、ウクライナをテーマにした討議に加わり、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国が加わった拡大会合にも出席。インドやブラジルなどロシア批判に消極的な国も多く、ゼレンスキー氏はこれらの国々にもじかに立場を説明した。

 岸田文雄首相やバイデン米大統領らとも個別会談。ウクライナは大規模な反転攻勢を準備しており、積極的な首脳外交で協力を求めた。

 ゼレンスキー氏は今月、欧州や中東を回って支援を要請。19日にサウジアラビアのアラブ連盟首脳会議に出席し、20日に電撃来日した。(田中美千子)

(2023年5月22日朝刊掲載)

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