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議論けん引 漂う高揚感 首相 世界80億の民が広島市民となった時、核兵器なくなる

 「核兵器のない世界」へ前進すると確信し、高揚感を漂わせた。先進7カ国首脳会議(G7サミット)を締めくくる記者会見に21日臨んだ岸田文雄首相。舞台に選んだ広島市中区の平和記念公園で、G7議長として核軍縮の議論をけん引した手応えを口にした。

 「まず広島の地でサミットを開催した私の思いを述べさせていただく」。原爆慰霊碑を背にし、首相はこう切り出した。2016年にオバマ元米大統領が演説したのとほぼ同じ位置。冒頭発言の半分の約11分を割き、スピーチを続けた。

 原爆ドーム、原爆慰霊碑、原爆資料館を1本に結んで公園を設計した建築家の故丹下健三氏の思いを紹介。「平和と繁栄を守り抜く決意を発信する上で広島の地ほどふさわしい場所はない」と、これまで何度も口にした言葉を重ねた。その上で「世界80億の民が全員、広島の市民となった時、地球上から核兵器はなくなるだろう」と力を込めた。

 サミットの成果としては「G7首脳と核兵器のない世界に向けた決意を改めて共有した」と胸を張った。G7として、広島の惨禍やロシアの核威嚇を念頭に「核兵器を使わない、核兵器で脅さない。人類の存続に関わる根源的な命題を今こそ問わなければならない」と語気を強めた。

 自らが唱えた「核兵器のない世界」への行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」の具体化に尽くすとも誓った。(中川雅晴、樋口浩二)

(2023年5月22日朝刊掲載)

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