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広島訪問を歓迎 懸念も ゼレンスキー氏に被爆者ら G7サミット

 ウクライナのゼレンスキー大統領が21日に平和記念公園(広島市中区)を訪問したのを受け、広島の被爆者からは共感と支援の声が上がった。一方、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が「対ロシア結束」の舞台となることを懸念する意見もあった。

 「戦時下でよく来てくれた。歴史的な瞬間だ」。被爆者の森重昭さん(86)=西区=は歓迎する。自身もオバマ米大統領(当時)と同公園で抱き合った7年前の映像が、日米の「和解」の象徴として世界を駆け巡っただけに「今回も世界に大きな反響を与えるだろう」とみる。

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(81)=同県北広島町=はゼレンスキー氏の演説に触れ「原爆投下後の『広島の街並みとウクライナの惨状が重なる』という話は非常に共感する」と指摘。その上で「ロシアへの制裁は強まるだろう。世界の分断で核の脅威が増すことにつながってはならない」と訴えた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(78)=西区=はウクライナが「核の脅威」にさらされる中、「実際に使われたらどうなるか関心があったのでは」とゼレンスキー氏の心境をおもんぱかった。一方、ウクライナ支援の強化をうたうG7首脳の声明に「広島が戦闘を支援する場になるのはふさわしくない。G7のイメージも崩れる」と懸念した。(伊藤友一、山本真帆)

(2023年5月22日朝刊掲載)

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