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伊サミット 「核兵器ない世界」約束 北朝鮮を非難

 主要国(G8)首脳会議(ラクイラ・サミット)は8日夜(日本時間9日未明)、政治問題について討議し、首脳宣言と核不拡散、テロ対策の両首脳声明を発表した。米国とロシアによる戦略核弾頭の削減合意を歓迎しオバマ米大統領が掲げる「核兵器のない世界」に向けた状況をつくることを約束。北朝鮮の再核実験やミサイル発射を「最も強い表現で非難」するとし、国連安全保障理事会の制裁決議履行を国際社会に要請。拉致問題に直ちに取り組むよう求めた。

 9日には、中国やインド、ブラジルなど新興国を加えた拡大会合を開いた。内需拡大による世界経済回復に向けて各国が協力していくことを盛り込んだ共同宣言を発表した。世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は2010年中の妥結を目指す。

 拡大会合が共同宣言をまとめるのは初めて。G8は新興国を含めた拡大会合をさらに2年間継続することで既に合意しており、サミット拡大へ転機となりそうだ。

 政治問題の首脳宣言はイランの大統領選後の混乱で死傷者が出たことに強い遺憾の意を表明。ミャンマーに対しては、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんを含むすべての政治犯の釈放を要求。イスラエルと近隣国の包括和平に期待を表明した。

 核不拡散首脳声明では、10年の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議成功に向けた取り組み強化を表明し、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉の早期開始を支持した。

 麻生太郎首相は新興国を交えた拡大会合で、世界経済の安定成長のため、「外需依存の国は内需主導への転換が必要だ」と述べた。

拡大共同宣言骨子

 一、経済危機克服のためにあらゆる措置をとることで合意

 一、内需を支える包括的で持続可能な回復を達成するため協力

 一、危機対応の例外的政策を元に戻す出口戦略の準備を開始

 一、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の2010年妥結を目指す

 一、気候変動枠組み条約締約国会議の包括的で公平な合意を確認

(共同通信2009年7月9日配信、7月10日朝刊掲載)

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