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ゼレンスキー氏 パノラマを凝視 対面した被爆者 小倉さん証言 壊滅の街 涙こらえ無言

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席したウクライナのゼレンスキー大統領と対面した被爆者の小倉桂子さん(85)=広島市中区=が22日、中区の国際メディアセンターで記者会見した。ゼレンスキー氏は原爆資料館(中区)を見学した際、広島の街並みが一瞬で破壊された様子をCGで伝える「ホワイトパノラマ」を険しい表情で見入り「必死で泣くのをこらえていた」と明かした。(宮野史康、太田香)

 ゼレンスキー氏はサミットが閉幕した21日、資料館に約40分滞在し、小倉さんから被爆体験も聴いた。小倉さんによると、東館で対面し、被爆10年後に白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんを例に、被爆者が抱える「死の恐怖」を証言した。本来は本館にある禎子さんが折った鶴がその場に展示されていたという。

 その後、ゼレンスキー氏は「ホワイトパノラマ」へ。原爆で街が瞬時に壊滅する映像を無言で見つめていたという。小倉さんは「自分の国を思っていたのだと思う。たまらない顔をしていた。私も泣きそうだった」と振り返った。

 小倉さんはサミット会期中、G7や招待国の首脳たちとも資料館で対面したが「パノラマには行かなかった。ゼレンスキーさんが初めてだった」とする。戦時下に被爆地を訪れた大統領に対し「どうやって人の命を助けるか、それを一番に考えてくださいと伝えた」と強調した。

(2023年5月23日朝刊掲載)

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