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平和への言葉 有意義 軍事支援議論に失望 電撃訪問 海外記者賛否

 ウクライナのゼレンスキー大統領の広島市への電撃訪問で、先進7カ国首脳会議(G7サミット)を取材した海外の記者には、評価と落胆の声が交錯した。

 「広島は平和の都市。自国と国民に平和を取り戻したい大統領の言葉は、ある意味で有意義だ」。フランス紙ルモンドの特派員フィリップ・メスメールさん(51)は、21日夜のゼレンスキー氏の記者会見後、こう評した。

 ゼレンスキー氏は原爆資料館(中区)で見たという被爆後の広島の街の写真に自国の激戦地の惨状を重ね、ウクライナへの支援を世界に訴えた。フランスのAFP通信のセリム・シュタイツィヒ記者(28)も「感情に訴えた」と振り返る。

 一方で、戸惑いの声も。中国のインターネットメディアの記者、李翔さん(33)は「軍事支援について話し、まるで誰も戦争を終わらせたくないようだ。失望した」と冷ややかにみた。

 ウクライナのテレビ局記者、ドミトロ・アノプチェンコさん(47)によると、戦時下の大統領の訪問を国民も注視したという。ロシアによる「核の脅し」を踏まえ「広島の歴史が繰り返されてはならないと伝えるためにも意義がある」と話した。(小林可奈、頼金育美)

(2023年5月23日朝刊掲載)

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