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「代役」のバラ移植 平和大通り 永井博士ゆかり

 広島市中区の平和大通り緑地帯に、長崎の被爆医師、故永井隆博士ゆかりのバラが新たに移植された。市青年連合会の関係者らが26年前に植えた別の永井博士ゆかりのバラがあった場所。衰弱したため先月、市植物公園に「入院」、記念碑だけになっていた。

 代役のバラは、レッド・ラジアンス(赤い輝き)という品種。連合会の役員を務め、26年前の植樹にも携わった正本良忠さん(81)=西区=と檜山修さん(78)=南区=がスコップを手にし、根元に土をかけた。植物公園に移された元のバラは、樹勢が回復すれば、代役の隣に植え戻す。

 広島とバラの縁は65年前にさかのぼる。広島、長崎の両市青年連合会が広島市内で交歓会を開いた際、病床の永井博士から贈られた。市役所内に植樹され、接ぎ木によって苗も増やした。今回の「代役」は、その一本という。

 連合会は後に記念碑の設置も計画。市役所内での許可が出なかったことから、平和大通りに落ち着いた。その際、長崎から新たに送ってもらって植えたのが養生中のバラである。日当たりが悪い上、歩行者に周りを踏み固められ、弱っていったとみられる。

 保存を目指し、正本さんらは実行委員会を結成、市民から寄付を募り、柵を設けるなどした。新たな説明板も作製中。「広島と長崎をつなぐバラ。大切に残していくきっかけにしたい」と願っている。(金崎由美)

(2014年3月17日朝刊掲載)

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