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核の透明性 向上を約束 首相 サミット成果報告 衆院予算委

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)で議長を務めた岸田文雄首相は24日、サミットを巡る衆院予算委員会の集中審議で成果を報告した。核軍縮に向けて「G7の核兵器保有国は透明性向上を承諾してくれた。この取り組みを外に広げていく」と主張。中国に対し、核兵器の原料となるプルトニウム保有量の透明性を向上させるよう求める考えも示した。(山本庸平、口元惇矢)

 サミットで出した核軍縮に関する文書「広島ビジョン」については「核兵器のない世界に向けた国際的な機運を高める機会になった」と強調した。立憲民主党の泉健太代表たち野党側の「核抑止力を前提としたサミットに被爆者から失望の声が上がっている」との指摘には、「厳しい批判があることは承知している」とした上で「現実への対応と核なき世界への理想をいかに両立させるかが政治の大きな責任だ」と述べた。

 泉氏は中国が近年、プルトニウムの在庫状況を国際原子力機関(IAEA)に報告していない点にも言及。首相は「透明性の観点から報告を重視する。中国ともこうした考え方を共有すべく働きかけたい」と話した。被爆地広島での開催には「各国首脳に被爆の実相に触れてもらえた。世界の隅々に発信してもらうことでも大きな成果を得られた」と伝えた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領の参加は「G7とウクライナの揺るぎない連帯を示し、ウクライナに平和をもたらすためにあらゆる努力をすることを確認した」と説明。「大きな歴史的意義を持つ」と訴えた。

 首脳声明には「あらゆる人々が性自認、性表現や性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受できる社会を実現する」と明記した。首相は「私は議長だ。同じ認識だ」と述べ、性的少数者への差別解消の必要性を認めた。

(2023年5月25日朝刊掲載)

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