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　「祈り」が語源といわれるビーズ製の折り鶴ブローチが、被爆地広島のシンポジウムに参加した首相夫人の胸元で輝いた。広島市西区のガラスビーズ製造大手のトーホーが作った特製品だ。「みんなが平和な世界を願うプレーヤー」。ブローチを示しながら、集まった若者たちに語りかけた。

　先進７カ国首脳会議（Ｇ７サミット）が開幕した１９日、中区のおりづるタワーで「次世代平和シンポジウム」があった。岸田文雄首相の裕子夫人は、同じブローチを着けた各国の首脳配偶者と出席。「一つ一つは小さな祈り。集まると世界を動かす力になる」と県内の大学生と高校生約１００人を前に語った。

　４月上旬、安佐北区にある工場を見学していた。山仲巌社長（４８）によると、ビーズの語源が「祈り」「願い」を意味するとの説明に聞き入っていたという。

　縦３センチ、横３・５センチで職人が１カ月かけて手作りした。ブローチ一つに５８５粒。優れた特産品「ザ・広島ブランド」に認定されている「アイコビーズ」で、直径１・６５ミリの形状や穴の大きさに誤差がほぼなく、作品の仕上がりが美しいため世界中にファンがいる。

　「つながりを象徴するビーズは首脳が集うサミットにふさわしい。広島生まれだと知ってもらう好機にもなった」と山仲社長。今後の商品化を検討している。（栾暁雨、太田香）

（２０２３年５月２５日朝刊掲載）