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[広島サミットを終えて] 自社製椅子 歴史的な日に貢献 マルニ木工・山中社長/首脳たち 和やかに座っていた 工業デザイナー・深沢さん

 広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)のワーキングランチで自社製の椅子が使われた家具製造マルニ木工(広島市佐伯区)の山中洋社長とデザインした工業デザイナーの深沢直人さんが、東京都内で取材に応じた。外務省などに売り込んできた山中社長は「歴史的な一日に貢献できた」と誇り、深沢さんは「世界で最も大事な会議に臨む首脳たちが、和やかに座っていた」と喜んだ。(山瀬隆弘)

 2008年に発売した「HIROSHIMA アームチェア」で、外務省はサミット初日の19日に首脳が座る様子を公開した。場所は主会場のグランドプリンスホテル広島(南区)。予備も含め10脚を納めていた山中社長は「公式写真のように世界中に出回り、うれしかった」と破顔した。

 山中社長は昨年9月、外務省に実物を持ち込み職員と面会した。「広島出身の首相が広島で開くサミット。そこで使う椅子はHIROSHIMAしかない」とアピール。翌月には職員が都内の直営店を訪れて座り心地などを確認したという。

 深沢さんはもともと、家庭の食卓用の椅子としてデザインした。売り始めると住宅内にとどまらず、飲食店や事務所向けにも広がった。そしてサミット―。「多くの人に知ってもらえた。今後は、ダイニングでもすし店でも会議室でも、みんなが使える椅子のアイコンになる」と期待する。

 都内の直営店では25日夜、取引先との懇談会があった。約250人が来場。山中社長は取材に対し、「みなさんが喜んでくれた。今回を機にさらにパートナーシップを強め、世界の定番商品を目指したものづくりを続ける」と力を込めた。

(2023年5月27日朝刊掲載)

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