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被爆電車とVRでヒロシマ追体験 訪日客向けツアー

 広島電鉄の被爆電車で平和記念公園(広島市中区)を訪ね、仮想現実(VR)ゴーグルで被爆前後の広島を体験する外国人向けのモニターツアーが開かれている。旅行会社たびまちゲート広島(中区)が新型コロナウイルス対策の緩和を受けたインバウンド(訪日客)の回復を見込み企画した。8月からの本格実施を予定している。

 26日はインドネシアや米国からの観光客たち8人が参加した。JR広島駅(南区)前から貸し切りの被爆電車「653号」に乗り、車内のモニターで被爆の惨状を伝える映像に見入った。通訳ガイドから原爆投下後に負傷者が押し寄せた御幸橋や、車窓に見える被爆樹木の説明を受け、カメラに収めた。

 原爆ドーム前で下車後、VR機能付きゴーグルを装着して平和記念公園一帯を散策。日常が一瞬で奪われたさまを、360度の映像と音声で疑似体験した。インドネシアから訪れた大学教授ダシム・ブディマンシャさん(60)は「思わず爆弾をにらみつけた。広島の苦悩がリアルに伝わった」と衝撃を受けた様子だった。

 訪日客向け体験イベントを支援する観光庁の事業の一環。今月22~31日のモニターツアーに参加する約20カ国の計約150人から感想を募り、8、10月に予定するツアーの本格実施に反映させる。(岸慶太)

(2023年5月27日朝刊掲載)

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