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被爆体験 英語で朗読 広島の中高生、動画制作

 ノートルダム清心中高(広島市西区)と広島女学院高(中区)の生徒たちが被爆体験記の英訳を朗読する動画の制作に取り組んでいる。広島原爆の日の8月6日までに完成させて動画投稿サイト「ユーチューブ」で流すことを目指す。

 被爆者高梨曠子(ひろこ)さん(93)=東京都=の体験がつづられた「赤い日傘」。広島市出身でノートルダム清心中高の卒業生、主婦水越緑さん(61)=同=が読んで「世界に伝えたい」と感銘を受け、同窓生たちと英訳。動画制作を企画した。広島の女子中高生に体験継承を担ってもらおうと両校に呼びかけると計10人が集った。

 高梨さんは15歳だったあの日、横川駅(西区)で電車を待っていた時に被爆して足に大けがを負った。一緒にいた友人は消息不明。体験記は、死体をよけて逃げ回った経験や体調不良に悩んだ戦後の生活も伝える。ノートルダム清心高1年大場麻貴さん(15)は「被爆後の心情を想像しながら繰り返し読んだ」。広島女学院高2年奥野愛優(あゆう)さん(16)は「声で表現するのは難しいが心を込めて高梨さんの平和への思いを伝えたい」と意気込む。

 高梨さんは「高齢で証言することは難しい。若者の声で伝えてくれるのはありがたい」。水越さんは「若者と一緒に平和の大切さを広めていく」と話している。(新山京子)

(2023年5月29日朝刊掲載)

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