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被爆者のゲノム 年度内解析着手 放影研

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は1日、被爆者から提供を受けた試料を使って、ゲノム(全遺伝情報)の解析に初めて取り組むと明らかにした。本年度内に着手し、被爆がもたらす健康影響の解明につなげる。

 放影研によると、ゲノム解析では、保管している広島の被爆者約100人の血液細胞を詳しく調査。約3年をめどに、被爆により白血病などが発症する仕組みを調べるという。この日、広島と長崎の被爆者や被爆2世を含む委員6人からなる外部諮問委員会をオンラインで非公開で開き、研究に関する意見を聞いた。

 被爆者を対象にしたゲノム解析を巡っては、放影研の別の外部諮問委が2020年に慎重に取り扱うよう助言。22年には被爆2世のゲノム解析に向けた助言もまとめた。

 この日の諮問委後にオンラインで記者会見した丹羽太貫(おおつら)理事長は研究に向け、「常に透明性が求められる。互いに信用し合うためにも、みなさんの思いを吸い上げるのが大事だ」と話した。(小林可奈)

(2023年6月2日朝刊掲載)

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