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核廃絶への思い 一筆に 原爆死没者名簿 記帳始まる

 広島市は1日、原爆死没者名簿の記帳を始めた。昨年8月6日以降に亡くなったか、死亡が確認された被爆者の名前を書き加え、今年8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典で原爆慰霊碑に納める。

 市が5月31日までに新たに把握した死没者は4235人。いずれも3歳で被爆した元市職員の中本信子さん(80)=南区=と池亀和子さん(81)=同=が、市役所の一室で、名簿に向かって手を合わせ、黙とう。名前と死亡年月日、年齢を筆で記していった。8月5日まで続ける。

 23回目の記帳となる中本さんは核兵器廃絶を願い「一人一人、被爆時のことを思い浮かべながら書きたい」。34回目の池亀さんは「78年たっても核兵器の恐ろしさは忘れられない。亡くなった被爆者に思いを寄せたい」と話した。

 名簿はこれまでに124冊あり、122冊には昨年8月5日までに死亡が確認された広島の被爆者33万3907人を刻む。別の1冊は遺族が希望した長崎の被爆者13人を載せ、もう1冊には「氏名不詳者多数」と記す。市原爆被害対策部調査課☎082(504)2191=平日のみ。(宮野史康)

(2023年6月2日朝刊掲載)

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