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米軍機騒音 高水準続く 22年度広島県集計 艦載機移転前の2倍 外来機増 影響も

 広島県は国が2022年度に県内6地点で測定した米軍機とみられる騒音の発生回数をまとめた。「騒がしい街頭」に相当する70デシベル以上は計8265回で、米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転後の18年度以降では21年度の計9664回に次ぐ多さだった。移転完了前の17年度比では2・1倍に増えていた。台湾海峡有事に備えた訓練のため、外来機の飛来が増えた影響もあるとみられる。(永山啓一)

 中国四国防衛局(広島市中区)が県内に設置している騒音測定器のうち18年3月末の移転完了前からデータのある3市1町の計6地点の記録を県が集計した。

 6地点別でみると、米軍機の飛行ルート直下にある大竹市阿多田島が4087回で最も多く、全体の約半数を占めた。同市西栄1376回▽廿日市市八坂987回▽北広島町西八幡原764回―の順だった。

 移転完了前の17年度との比較では6地点とも増加。大竹市西栄が13・0倍と最大の増加幅だった。江田島市沖美3・8倍、廿日市市宮島3・3倍、同市八坂2・2倍と続いた。

 岩国基地は18年3月、厚木基地(神奈川県)から空母艦載機約60機の移転が完了。所属機は2倍の約120機となり、極東最大級の航空基地となった。

 22年6、7月には岩国基地所属ではない米空軍のステルス戦闘機F35A、F22ラプターの計30機が基地や周辺で訓練を繰り返すなど、緊迫する東アジア情勢を背景に外来機の飛来が増えている。同年6月8、22の両日には広島市の上空を米軍機とみられる航空機が通過し、市や県に騒音の苦情が相次いだ。

 県国際課は「騒音回数はこの2年は特に多く、県民の生活に多大な影響を及ぼしている」として、国に低空飛行訓練の中止や騒音被害の実態把握の要望を続けている。

(2023年6月2日朝刊掲載)

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