×

ニュース

被爆者資料 望まれる保存は 研究者や医師 オンラインで講演

 被爆者医療や放射線の人体への影響について専門家が講演する「原子爆弾後障害研究会」が4日、オンラインで開かれた。広島原爆障害対策協議会(原対協、広島市中区)が企画し63回目。「被爆者の資料や試料の保存」をテーマに研究者や医師たち6人が、現状や望まれる保存方法について意見を述べた。

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、南区)の久保田明子助教は、原医研が所蔵する医学記録などの文書や生体試料を体系立てて整理・保存する「原爆アーカイブズ」構想を発表した。

 「被爆関連資料と、取り扱いが難しく専門性が高い医学の資料や試料は別々の施設に収める必要がある」と強調。南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」も活用する案を示した。

 長崎大原爆後障害医療研究所(長崎市)の横田賢一助教は、被爆者約15万人分の被曝(ひばく)線量の推定値や死亡原因などの情報がある同研究所の被爆者データベースを紹介。「個人情報を管理し、分類できるノウハウがある人材の確保と育成が望ましい」と述べた。

 発表者たちによる意見交換もあった。広島や長崎の各研究機関や医療機関が保存している資料や試料について「地域単位のデータベースをつなげて、各機関が情報共有できるようにしたい」などの意見が出た。(根石大輔)

(2023年6月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ