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震災乗り越え巣立ち 広島県内公立小337校で卒業式 友が支え 避難2児童笑顔

 広島県内の公立小337校で20日、卒業式があった。全公立小児童数の77%に当たる2万235人が希望を胸に、思い出の詰まった学びやを後にした。県教委によると、今春卒業するのは全公立小で2万6401人。卒業式は25日まで各校で開かれる。

 地震の記憶や見知らぬ土地での生活を乗り越えて広島で元気を取り戻した―。東日本大震災の被災地から広島市に避難した児童も笑顔で卒業式を迎えた。

 福島県郡山市から避難してきた渡辺莉帆さん(12)は白島小(中区)を巣立った。卒業式では、広島で過ごした3年間を思い返し、涙を流した。

 郡山市の自宅は福島第1原発から約50キロ。放射線の影響を心配した母と姉の3人で避難し、2011年4月から同小に通った。震災の恐怖が忘れられず、授業中に物が落ちる音にさえ驚いた。理由もなく涙があふれ出てくることもあった。そんなとき、支えてくれたのが級友たちだった。

 「お泊まり会」で地震の怖さを伝え、逆に励ましを受けた。「つらいことがあっても、笑顔でいれば乗り越えられる。白島小のみんなから、そう学んだ」と力を込めた。

 舟入小(同)では、宮城県石巻市から移り住んだ岡田武将君(12)が元気いっぱいの返事で卒業証書を受け取った。自宅は津波で浸水。初めは、方言の違いに戸惑ったが「友達がたくさんでき、いまでは石巻に帰りたいと思わない」とほほ笑む。

 卒業式を見守った母由紀子さん(41)は「大変な思いをした分、苦しんでいる人に手を差し出す大人になってほしい」と願っていた。(久保田剛、永里真弓)

(2014年3月21日朝刊掲載)

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