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核密約 否定撤回を要求 河野外務委員長意向 調査し存在認定

 自民党の河野太郎衆院外務委員長は10日、日米間における核持ち込みの密約の存在を、共同通信などに実名証言した村田良平元外務事務次官から京都市内で聞き取り調査を行った。調査後、河野氏は共同通信に「村田氏の証言から密約はあったと判断した」と断言。「外務委員会では今後、『密約はない』との答弁の繰り返しは認めない」と述べ、政府側に密約の存在を認め、密約を否定してきた答弁の撤回を求める意向を示した。

 河野氏は外務委としても、こうした方針を確認する決議をまとめたい意向。週明けにも記者会見し、調査結果を発表するとしている。河野氏は所属する自民党執行部と擦り合わせをしていないが、与党の常任委員長が政府の公式見解を否定するのは極めて異例。密約問題で政府が新たな対応を求められる可能性も出てきた。

 政府側は「密約はない。再調査するつもりもない」(中曽根弘文外相)と、密約の存在を一貫して否定している。

 河野氏によると、聞き取り調査に対し村田氏は、1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船などの日本立ち寄りを黙認することで合意した密約を、歴代の外務事務次官らが引き継いで管理していたと説明した。河野氏は村田氏ら密約を知る立場にあった歴代外務事務次官の参考人招致なども検討しているという。

 また津軽、宗谷など日本の重要海峡の領海幅について、法的に可能な12カイリを採用せず3カイリにとどめたのは、米軍の核搭載艦船通過を政治問題化させないためだったとも証言した。

 外務委で密約問題が取り上げられたことを受け、河野氏は1日の記者会見で外務委として調査する意向を示していた。

核持ち込みの密約
 米軍による核兵器の持ち込みは1960年改定の日米安全保障条約で定めた「事前協議」の対象としたにもかかわらず、核艦船などの日本通過・寄港を対象外とした日米の秘密合意。大平正芳外相が63年にライシャワー駐日大使に密約を確認したとする公電が米国立公文書館で見つかったが、政府は「事前協議がない限り、核持ち込みはない」と主張してきた。事前協議は、これまで一度も行われていない。日本は「核を持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を国是としている。

(共同通信配信、2009年7月11日朝刊掲載)

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