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不妊治療への助成拡充 広島県 先進医療1回上限30万円 全額自己負担が対象

 広島県は本年度、不妊治療で保険適用にならない先進医療を受けた夫婦を対象にした独自の助成制度を拡充した。昨年度から始めた制度に、新たに治療1回につき上限30万円を助成するメニューを加えた。より幅広いケースで子どもを望む夫婦の経済的な負担の軽減を図る。(平田智士)

 新たな対象は、体外受精や顕微授精、男性不妊治療のうち保険適用外の先進医療を一部受けたことに伴い、治療費全額が自己負担になった夫婦。妻が43歳未満で昨年4月以降に治療を始めたことも条件になる。費用は治療1回当たり60万~80万円という。

 助成回数の上限は子ども1人につき6回(40歳以上は3回)まで。治療後、原則2カ月以内に県庁や各保健所に申請する。昨年度、治療を終えて全額自己負担した夫婦も対象にする。

 不妊治療を巡っては昨年4月、人工授精や体外受精といった基本治療が保険適用された。一方、高性能カメラで受精卵を観察し、子宮に戻す時機を見極める「タイムラプス」など13種類の先進医療は保険適用外のままになっている。

 治療実績や症例数などで国の基準を満たさない医療機関で先進医療を受けるなどした場合、保険適用部分も含め全額自己負担になる制度であるため、負担の大きさが課題だった。

 県は昨年4月、先進医療1回につき上限5万円の独自制度を新設し、助成は約1200件に達した。しかし、県が先進医療を手がける9医療機関にアンケートした結果、約2割の夫婦が全額自己負担していた。

 県は本年度一般会計当初予算で関連費用3億4800万円を確保。県子供未来応援課は「不妊治療を受ける夫婦の治療の選択肢が減らないよう経済的な負担を軽減したい」としている。中国地方5県では鳥取県も昨年度から同様の助成制度を始めている。

(2023年6月6日朝刊掲載)

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