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支持・慎重 中国地方議員 与党内で議論 集団的自衛権の行使容認 

 安倍晋三首相が強い意欲を見せる集団的自衛権の行使容認をめぐり、与党内の議論が活発化している。中国地方選出の国会議員は支持派、慎重派に分かれて意見が交錯。行使容認問題が最大の焦点になる後半国会に向け、自らのスタンスを打ち出し始めた。

 自民党本部で19日にあった首相の出身派閥、町村派(清和会)の集団的自衛権に関する勉強会。町村信孝会長は「清和会の研修は党総務懇談会と違う。議論はするが最後は一致団結しよう」とあいさつ。閣議決定による憲法解釈変更に異論や慎重論が相次いだ17日の党総務懇談会を当てこすり、首相支持を確認した。

 出席した江島潔氏(参院山口)は「集団的自衛権を最小限の枠内で認める必要性があることを国民に理解してもらう」と話す。

 同党の高村正彦副総裁(山口1区)も首相支持の立場。19日、行使容認を検討する首相(党総裁)直属の新組織を週明けに発足させることを記者団に明かし、「党内でいろいろ勉強会ができることは良いことだが、意見集約の場は総裁直属機関だ」と反対・慎重派をけん制した。

 一方、党総務懇談会で丁寧な合意形成を求めたのは溝手顕正参院議員会長(参院広島)。20日、出身派閥の岸田派(宏池会)の会合でも「党が決めたことだからという論理で全てをやろうという動きは、これまでなかった」と苦言を呈した。

 ただ、岸田派会長の岸田文雄外相(広島1区)は閣内にいるからか、歯切れは悪い。同日の派閥会合では「議論を丁寧に進める中で、深い理解と見識を持たないといけない」と述べるにとどまった。

 党内の「ハト派勢力」として存在感を示し切れない岸田派だが、近く独自の勉強会を開く予定だ。岸田氏は「首相に『宏池会でも勉強会をするんですね』と言われた」と明かした上で、「(首相が設置した)安全保障に関する有識者懇談会の動きなどの事実関係をしっかり勉強する」とした。

 行使容認に慎重な公明党も19日に初の勉強会を開催。出席した斉藤鉄夫幹事長代行(比例中国)は「党として安倍政権の方向性に全く納得していない」。4月、有識者懇談会の報告書提出を受けて始まる与党協議に警戒感を募らせる。(城戸収、坂田茂)

(2014年3月22日朝刊掲載)

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