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旧呉海軍工廠製大砲か 北海道沖で発見 日露戦争後製造 呉市が購入 研究・保存へ

 呉市は5日、北海道積丹町沖で旧呉海軍工廠(こうしょう)の製造とみられる大砲が見つかり、大和ミュージアム(呉市宝町)で研究・保存するため市が購入したと発表した。大砲に付いている銘板に同工廠の文字が刻印されており、呉で造られた可能性が高いという。沈んだ経緯などは分かっていない。

 大砲は全長約3・2メートルで砲身が約2メートル、幅約40センチ。重さは約千キロ。表面は赤茶色にさびているが、形はしっかりと残っているという。取り付けられている銘板には「四十口径」「三吋(インチ)砲」などと記されている。明治39(1906)年と刻まれており、1903年に旧海軍の組織改編により同工廠が誕生し、日露戦争(04~05年)が終了した後に製造されたとみられる。

 発見されたのは2021年11月11日。同町神威岬の沖合約30キロで、操業中のカニかご漁船の網に引っかかった。国有財産として北海道財務局が道内の倉庫で保管し、引受先を探していた。連絡を受けた市が職員を現地に派遣。歴史的価値があり、当時の技術力が分かる現物資料と判断し、ことし5月に購入した。

 今月8日に北海道から運搬され12日に市に届く予定。同ミュージアムは「貴重な資料なので将来的な公開も踏まえ、準備を整えたい」としている。(仁科裕成)

(2023年6月6日朝刊掲載)

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