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「被爆時の救護」発信深く 中区旧広島逓信病院外来棟 展示見直しへ 来秋リニューアル完成

 広島市は、旧広島逓信病院外来棟(中区)を原爆資料館(同)の付属展示施設にするため、展示内容の見直しに本年度着手する。被爆建物で当時の手術室が唯一残っており、原爆投下直後の救護活動の実態を伝える展示を充実させる。2024年11月のリニューアル完成を目指す。(小林可奈)

 爆心地から約1・4キロにある旧外来棟は1935年に完成し、鉄筋2階建て延べ約680平方メートル。原爆投下時は内部にあった医療器具が焼けたり飛ばされたりしたが、建物は倒壊を免れた。旧手術室や旧消毒室の壁、床には被爆当時のタイルが残る。病院は多くの重傷者を受け入れたという。

 95年に中国郵政局が旧外来棟を活用して被爆資料室を開設。市が18年に日本郵政から無償譲渡を受け、被爆後の治療の様子などを記録した写真を展示している。予約制で見学できる。

 市は今後、1階を資料の展示スペースと収蔵庫、2階を収蔵庫として活用する方向で、詳しい設計に入る。市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)開催を経て外国人旅行客の増加も見込み、英語の説明文を加える。平和推進課は「多くの人に被爆者救護の様子や原爆の非人道性への理解を深めてもらう施設にしたい」としている。

 市はほかに、いずれも中区の被爆建物の本川小と袋町小の両平和資料館も原爆資料館の付属展示施設に加え、25年11月のリニューアルを予定。いずれも原爆資料館と一体的に管理・運営することで発信力を高める。

(2023年6月8日朝刊掲載)

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