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社説・コラム

『記者縦横』 国際会議で魅力を発信

■備後本社 東山慧介

 広島市で5月にあった先進7カ国首脳会議(G7サミット)の取材に携わった。至る所で世界各国のメディアと擦れ違い、注目の大きさを体感した。勤務地の福山市に戻った今、2025年5月に同市である「世界バラ会議福山大会」への期待が膨らんでいる。

 G7サミットを取材する記者が拠点とした国際メディアセンターでは、被爆死した子どもの遺品のレプリカなどを展示。多くの広島の特産品も紹介され、国内外の関係者に発信した。

 サミットと規模や趣旨は大きく異なるとはいえ、世界バラ会議にも国内外から多くの人が訪れる。オーストラリアで昨秋にあった前回大会では、バラの研究家や生産者たち約400人が24カ国から集った。福山市が初めて誘致した大規模な国際会議は、世界に市を発信するまたとない好機だ。

 大会の主要会場となるばら公園(花園町)は、戦後復興期の市民による植栽が原点。広島市から平和運動が広がった頃、「ピース」というバラが植えられたという。バラの植栽は、思いやりや助け合いの心を意味する言葉「ローズマインド」を生んだ。

 今年5月の福山ばら祭。新型コロナウイルス禍から完全復活した祭りのメイン会場となったばら公園は大勢でにぎわい、笑顔がはじけた。バラ会議に各国から集まる人たちに、バラに込められた平和への思いもぜひ伝えたいし、伝えてほしい。平和であるからこそ広がる光景を前に、そう強く思った。

(2023年6月9日朝刊掲載)

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