×

ニュース

サミット支えた経験 力に 県民会議 地場の出向者 任務終える

 広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)を支えた官民組織の広島サミット県民会議で、地元企業からの出向者6人が9日、約8カ月間の任務を終えた。地域の企業や学校を回り、機運を盛り上げた経験を糧に今後のキャリアでの地域貢献を誓った。

 マツダ、中国電力、広島銀行(広島市中区)、広島信用金庫(同)、広島電鉄(同)、広島ガス(南区)から20~40代の各1人が昨年10月から出向していた。

 広島銀の川本雅士さん(43)は広島県内の企業を回り、サミットPRへの協力を呼びかけた。ポスターを事務所に張るなど企業の取り組みは約2千件に上り、目標の2倍に達した。「地域貢献をしたいという入社時の思いに立ち返ることができた」とにこやかに振り返った。

 広ガスの増本憲司さん(37)は路面電車やバスなどをラッピングしてPRする企画に携わった。県内の高校の協力で、サミットの開催を知らせる掲示板も仕上げた。「生徒たちは真剣に取り組んでくれた。郷土への愛着を持ち続けてほしい」と願う。会社ではガス機器の点検の管理を担う部署に戻る。「インフラを守る業務に加え、新規事業にも挑みたい」と力を込めた。

 6人はこの日、中区の広島商工会議所にある県民会議の事務局で、任期満了の辞令書を受けた。「元の職場でも経験を生かしたい」「業種を超えた仲間に強いつながりを感じた」などと話し、涙ぐむ人もいた。村上慎一郎事務局長は「一人一人の力がサミットの成功につながった」と感謝の言葉をかけた。

 県民会議は昨年7月に県や県内の市町、経済や平和関連などの団体、企業が設立し、サミット開催の支援や準備に当たった。会計などの業務が残り、解散の時期は決まっていない。(高木潤)

(2023年6月10日朝刊掲載)

年別アーカイブ