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台座部分の銘板に「呉海軍工廠」の刻印 大砲 大和ミュージアムに到着 展示視野に研究・保存

 北海道積丹町沖で見つかった、旧呉海軍工廠(こうしょう)で明治39(1906)年に造られたとみられる大砲が12日、呉市宝町の大和ミュージアムに到着した。呉とのつながりが分かる貴重な資料として、市が北海道財務局から先月購入した。展示を視野に同ミュージアムが研究・保存する。(仁科裕成)

 8日に北海道江差町で引き渡しを受け、トラックで運搬した。同ミュージアムに着くと、クレーンなどで慎重に運び込み、学芸員たちが状態を確認。表面はさびているが付着物などはなく、木製とみられる部品も残っていた。約3・1メートル、重さ約千キロ。縦4・5センチ、横8センチの銘板が砲身を支える台座部分に取り付けられており「呉海軍工廠」「明治三十九年」などと刻印されている。

 2021年11月11日に積丹町神威岬の沖合約30キロで、操業中のカニかご漁船が海底約千メートルから引き揚げた。市は当時の兵器の製造能力などが分かる現物資料と判断。国有財産として管理していた同局から、5万8300円で購入した。

 同ミュージアムなどによると、この海域で旧日本海軍の艦船が沈没した記録はない。民間から徴用した船に搭載され、何らかの原因で沈んだ可能性も考えられるという。今後、同工廠の製造記録などと合わせて調査する。同ミュージアム学芸課の林悦子課長は「思ったより状態が良かった。謎が多くロマンのある貴重な資料なので、展示も目指したい」と話した。

(2023年6月13日朝刊掲載)

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