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[西日本新聞から] 長崎「黒い雨」 地図化 県保険医協会 HPで公開

 国指定の被爆地域外で長崎原爆に遭った被爆体験者の救済を巡り、長崎県保険医協会(本田孝也会長)は、原爆投下後に被爆地域外で「黒い雨」が降った地点などを示すデジタルマップを作成し、ホームページで公開している。協会は「地図は、未指定地域でも降雨があったという客観的記録の裏付けになる」と強調している。

 マップは、被爆地域内外での雨の目撃証言や残留放射線が確認されたとする595地点を「グーグルマップ」上に表示。雨が降ったとされる地点は爆心地の東側を中心に広範囲に示されている。地点をクリックすると、「(中略)空は真っ黒、暗くなるし雨も降り出し、紙屑(かみくず)類は飛んでくるし、恐(こわ)かった」(旧矢上村)などと詳細な証言を見ることができる。

 降雨の根拠としたのは、米国の原爆傷害調査委員会(ABCC)が1950年代に約4万人を対象にした調査と、長崎県や長崎市が99年度に行った証言調査。残留放射線については、米軍のマンハッタン管区調査団が45年に行った測定をまとめた報告書に基づいた。

 「黒い雨」を巡り一昨年の広島高裁判決は、国が主張する区域よりも広範囲に降ったと推認し、被害救済を命じた。一方、長崎について国は「雨が降った客観的記録がない」などとして被爆者と認めていない。長崎県と長崎市は、国に詳細な調査を求めている。

 https://www.vidro.gr.jp/nagasakigenbaku/ (松永圭造ウィリアム)

(2023年6月19日朝刊掲載)

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