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再審査終了 8割却下 原爆症認定 原告団、批判強める

 厚生労働省は24日、原爆症の認定申請を却下され、国に却下処分の取り消しを求めて提訴した原告を対象とした新たな認定基準による再審査を終えた。102人が計105件を申請し、うち約8割の83件は再び却下された。一方、20日に大阪地裁で却下された原告4人を原爆症と認める判決が出ており、原告団は批判を強めている。

 昨年12月に見直された認定基準に基づき、厚労省の被爆者医療分科会が24日までの3回の会合であらためて審査。105件は3人が二つの病気をそれぞれ申請。うち認定の答申は2割弱の18件で、残る4件は治療状況の再調査などで保留の判断となった。同省被爆者援護対策室は「個人によって被爆や治療の状況は違う。認定されなかった人は、引き続き裁判で争うしかない」としている。

 新基準では、心筋梗塞など三つの非がんの病気の認定条件から「放射線起因性(原爆放射線と病気との関連性)が認められる」との文言を削除。一方で、被爆の距離条件を「約2キロ以内」などに狭めた。

 「ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団」の山本英典団長(81)=東京都杉並区=は「裁判を起こす気力と資金のある被爆者しか救われない。新基準は被爆の実態に沿っておらず、見直しが必至だ」と訴えている。(藤村潤平)

原爆症認定制度
 爆心地から約3・5キロ以内で被爆などの条件で、がんや白血病など七つの病気を積極認定。それ以外は総合判断する。認定されると、医療特別手当として月約13万5千円が支給される。厚生労働省の有識者検討会は3年間の議論を経て、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変の三つの病気について被爆条件を細かく設定する見直しを昨年12月に提言。厚労省はこれを踏まえ、5年ぶりに認定基準を変更した。

(2014年3月25日朝刊掲載)

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