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平和への思い 歌に乗せて 山口で12月 ウクライナ交響楽団と共演 市民合唱団150人 練習励む

 世界屈指のオーケストラとして知られるウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団が12月29日、山口市中央の市民会館でコンサートを開く。ベートーベンの交響曲第9番などを奏で、山口市民たちでつくる合唱団が歌う。ロシアによるウクライナ侵攻の終わりが見通せない中、約150人の市民合唱団が、歌を通して平和への思いを届けようと練習に励んでいる。(山下美波)

 今月中旬、同会館の小ホールに迫力ある歌声が響いた。公募で集まった中学1年から80代までの合唱団メンバーが、四つのパートに分かれて練習していた。合唱経験のない人もいる。指導する中野幸郎さん(67)=山口市=が「急がないで」「発音をしっかりと」とアドバイス。最後はピアノの伴奏に合わせて全員でハーモニーを奏でた。

 メンバーは5月から月に2回集まって練習している。本番ではウクライナ出身のミコラ・ジャジューラさんの指揮の下、同国出身のソリスト4人と「第九」の第4楽章「歓喜の歌」をドイツ語で歌う。バスパートの秋本浩之さん(60)=同市白石=は「音楽を通してウクライナの人とつながり、応援したい。客席と平和への思いが一つになるような演奏を目指す」と力を込める。

 同会館によると、ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団は、戦禍の母国から離れ、欧州を中心に練習場を借りながらコンサートを開いている。日本での巡回公演も予定され、同会館が国際平和事業の一環として招いた。

 同会館は昨年12月、館としては初となる合唱団の募集を実施。中高生の申し込みも多かった。ともに白石中3年で音楽部員の竹野花菜さん(15)は「二度とない体験になる」、伊藤愛夏さん(14)は「お客さんが聞けて良かったと思えるコンサートにしたい」と意気込む。

 コンサートは午後2~4時。一般チケットは9月17日に同会館などで発売する。一般S席7千円、A席6千円。学生はそれぞれ半額で鑑賞できる。未就学児の入場は不可。松田和寛副館長は「ウクライナの平和を願う公演。応援する意味でもぜひ来場してほしい」と呼びかけている。同館☎083(923)1000。

(2023年6月27日朝刊掲載)

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