×

ニュース

森元県警本部長に聞く 交通規制 協力が土台に 広島サミット警備 県民に感謝

 5月に広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)を巡り、警備を指揮した広島県警の森元良幸本部長が中国新聞の取材に応じた。首脳らの警護を混乱なく終え、「県民の協力が土台になった」と強調した。(山崎雄一)

  ―警戒警備のため多数の警察官が広島市入りし、物々しさがありました。
 日本警察の威信を懸けた警備だった。負担をおかけしたが、交通規制などでの県民の皆さまの協力が土台となり、全国の警察は団結して重層的な警備ができた。早朝から深夜まで警戒に当たった警察官に県民の方から温かい励ましの声や手紙ももらった。特別派遣部隊が任務を終えて広島を離れる際、感激した面持ちで沿道の見送りに応えていたのは印象的だった。

  ―都市部開催となり、難しかった点は何ですか。
 前回の伊勢志摩サミット(三重県)よりも住民が多く住む地域で開催され、首脳らの滞在は長く、宿泊場所や行き先地も広範囲だった。そのため多くの場所で沿道の警備が必要になるなど緊張感に満ちた。ただ、事前準備を積み上げて乗り越えた。広島県警には財産になる。

  ―ウクライナのゼレンスキー大統領のサミット出席が急きょ発表されました。
 意外かもしれないが、警備本部内に慌てた雰囲気はなく、困難な事象に対応していくという気迫を感じた。急な日程の追加などは、ある程度視野に入れて準備してきた。

  ―大型警備を実施していく上で今後の課題は。
 苦労した警察官の宿泊場所の確保が一つだ。企業の研修施設なども使わせてもらったが、バスで寝泊まりした部隊もあった。今後も大規模な国際会議が開催される可能性はあり、警察だけでは解決できない。南区元宇品町や平和記念公園(中区)の囲いなどは広島市や外務省と連携した。大型警備は主催者、住民と共通認識を持てるかが大切だ。

  ―出身地の広島市での大きな任務でした。率直な感想は。
 宿舎の調整、食事の手配といった支援活動をした部隊、厳しい人員で治安を守るために奮闘した警察官もいた。それぞれが任務を全うしてくれた。県民の皆さまも含め感謝で胸がいっぱいだ。また、地元の人間として広島の思い、魅力の発信に陰ながらお手伝いできたことはうれしい。

(2023年6月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ