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被服支廠に「予算配分」 厚労相明言 自民議連要望に対し

 加藤勝信厚生労働相は27日、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)について、耐震化するための財政支援を明言した。被爆地選出の議員たちでつくる自民党の議員連盟の要望に対し、「関係省庁と連携しながら、必要な予算配分を行っていきたい」と述べた。首相秘書官も、早期の予算措置に言及。保存に向けた国の動きが加速した。

 加藤氏は、厚労省で自民党の被爆者救済と核兵器廃絶議連のメンバーから耐震化での「応分の負担」を求める要請書を受け取った際、他省庁とタッグを組んで財政支援をする方針を示した。現存する4棟のうち3棟を持つ広島県が国の重要文化財(重文)指定を目指していることから、文化庁との連携支援が念頭にあるとみられる。議連の平口洋事務局長は会談後、「大きな前進だ」と喜んだ。

 議連メンバーは首相官邸も訪れ、岸田文雄首相宛ての同様の要請書を中山光輝秘書官に出した。平口氏によると、中山氏からは「重文指定してもらう線で進めれば良い」との助言があり、早期の予算措置を明言する回答があった。指定されれば国が改修費の半額を補助する仕組みがある。

 厚労省の被爆建物に対する現行の補助制度は上限が1棟当たり2460万円。県は被服支廠の耐震化には1棟につき少なくとも5億8千万円かかると試算している。(樋口浩二)

(2023年6月28日朝刊掲載)

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