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「日米友好の架け橋に」 平和公園とパールハーバー国立公園 広島市長 姉妹協定の意義強調

 広島市の平和記念公園(中区)と米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定で、松井一実市長は27日、「かつて敵味方に分かれていた日米両国の市民にとって友好の架け橋となる」と意義を強調した。市議会一般質問で答えた。

 松井市長は「原爆投下は戦争を終わらせ、人命を救うために米国がとった必要な行為だったのか、不当な残虐行為だったのか、議論の的になっているのは承知している」と指摘。同時に「多くの広島の人が訴えているのは、核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという点だ」と語った。

 その上で、協定の意義に言及。「日米の先人が平和を願って積み重ねてきた努力に報いるものになる。平和文化を市民社会に根付かせる重要な一歩になると確信している」と述べた。

 また今回の協定は5月に市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機に米側から打診があったが、2017年にもホノルル広島県人会側から提案を受け「平和意識と機運の醸成を図りながら時間をかけて検討していく」と回答していた経緯も明かした。

 松井市長は29日、東京の米国大使館でエマニュエル駐日大使と協定を結ぶ。(野平慧一)

市民団体は保留求める 広島県被団協など 「全市的議論を」

 広島市の平和記念公園と米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定で、広島県被団協(佐久間邦彦理事長)など県内の10団体でつくる市民団体「G7広島サミットを考えるヒロシマ市民の会」は27日、締結を保留し、「全市的な議論」をするよう市へ要請した。

 要請書では、協定について「市民と被爆者を含む多様な議論を経ず、唐突に提起され、なぜ今なのか、どんな意図なのか、全く説明されていない」と指摘。締結を保留し、広範な議論と検討を市に求めている。

 市民の会の4人が市役所を訪問して提出。共同代表を務める佐久間理事長は「仲良くするのは悪くないが、あまりにも早急過ぎる」と話した。市国際化推進課の野坂正紀課長は「今回の提携が平和や友好の架け橋になると考えている」と理解を求めた。(太田香)

(2023年6月28日朝刊掲載)

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