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平和公園とパールハーバー国立公園 姉妹協定 期待と困惑の声が交錯 被爆者や反核団体「歓迎する」「なぜ今」

 「歓迎する」「なぜ今なのか」。29日に結ばれた広島市の平和記念公園(中区)と米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定で、被爆者や反核平和団体の関係者の間に期待と困惑の声が交錯した。日米の戦争の記憶を呼び起こす両公園は、和解と友好の「架け橋」となるのか―。

 「真珠湾は米国人にとって戦争を思い出すつらい場所。日米が互いに手を携え、平和のために尽くしてほしい」。被爆者の森重昭さん(86)=西区=は協定締結を歓迎する。被爆米兵の調査を続け、7年前には広島を訪れた当時のオバマ米大統領と対面した。

 一方、「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」顧問の森滝春子さん(84)=佐伯区=は「被爆者への侮辱だ」と非難。旧日本軍による真珠湾攻撃は軍事施設が対象だったのに対し、米軍の原爆投下では無差別に市民の命が奪われたとして「両公園の歴史的な位置づけが永久に違う」と訴える。

 「先進7カ国首脳会議(G7サミット)以来の大きなニュース」と受け止めたのは、広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(81)=北広島町。「賛否あると思うが、10年、20年後に結果が出るのでは。協定を結んで良かったとなるよう願う」と話した。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(78)=西区=は「仲良くするのは反対ではないが、早急過ぎる」と困惑。「それぞれの公園に歴史がある。(市民が)互いに勉強し、反省しながら進む方が良いのでは」と全市的な議論を求めた。

 協定を巡っては、三つの市民団体がこの日までに締結の保留や白紙撤回を求める要請書を市に提出した。(太田香)

(2023年6月30日朝刊掲載)

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