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惨状撮影した父の遺志 語り継ぐ 米のレスリーさん 平和の尊さ オンラインで訴え

 原爆投下から半年後の広島で米戦略爆撃調査団の撮影班として被爆の惨状を撮影したハーバート・スッサンさん(1922~85年)について、長女レスリーさん(70)=米メリーランド州=が語るイベントがオンラインであった。「父の遺志を継ぎ、平和の尊さを伝えていく」と誓った。

 スッサンさんは46年3月、広島に入り爆心地や周辺を写真やカラー映像で記録。被爆時のけがで左足を切断し、広島逓信病院(広島市中区)で治療中だった沼田鈴子さん(2011年に死去)らの姿を収めた。映像は後に日本の草の根運動「10フィート運動」で買い戻され、映画にもなった。

 レスリーさんは、父親が撮影した写真を見せながら「広島での経験はトラウマになったが、核は必要ないという考えを持つきっかけになった」と説明。83年に広島を再訪し「核兵器による悲劇を繰り返してはいけない」と語ったという。

 父親の思いを継いで87年から広島訪問を重ねたレスリーさんは、被爆アオギリの下で被爆体験を語り続けた生前の沼田さんと交流。父親のメモなどを基に2020年に本を出版し、日本語版も出版を計画する。

 イベントは英語での表現活動に取り組む団体「広島フェニックストーストマスターズクラブ」が企画。45人が参加した。(新山京子)

(2023年7月3日朝刊掲載)

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