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核廃絶の道 記す一冊 リーパー氏出版 日本の役割訴え

 広島平和文化センター前理事長で広島女学院大のスティーブン・リーパー客員教授(66)=写真=が、核廃絶をめぐる動きと日本の役割について訴える本「日本が世界を救う―核をなくすベストシナリオ」を来月出版する。

 広島・長崎への原爆投下から、これまでの核軍縮の歴史を紹介。核保有国を含めてさまざまな協議が重ねられてきたものの、なかなか進まない要因を解説している。さらに2010年から核兵器を持たない国々を中心に、核兵器の非人道性と非合法化に向けて動いている現状を記している。

 禁止条約の策定については、対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約が、米国やロシア、中国など大国抜きに作られた経緯を例示。核兵器についても世論が高まれば作れると強調する。

 核抑止論については、核兵器がさらに拡散される危険性を訴えた湯川秀樹博士の発言を引用。世界の数カ所で核兵器が使われれば、地球がすすや煙に覆われて気温が下がり、世界的な食糧危機が起きる点も指摘している。

 日本の役割については、被爆国としてリーダーシップを取るべきだと主張。広島、長崎を会場にした国際会議の積極開催を提案している。リーパーさんは「核兵器廃絶は、実は難しくないし、身近な問題だと知ってほしい」と話している。B6判、154ページ。1200円(税抜き)。2千部印刷した。(二井理江)

(2014年4月1日朝刊掲載)

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