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被爆者との信頼が重要 2世ゲノム解析へ十分準備 放影研の神谷理事長に聞く

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の神谷研二理事長(72)が就任後初めて中国新聞のインタビューに応じた。被爆2世のゲノム(全遺伝情報)解析の着手を控える中、「被爆者、被爆2世の皆さんとの信頼関係をつくっていくことが一番重要だ」と強調した。(小林可奈)

  ―被爆2世のゲノム解析への準備状況は。
 着手時期は決まっていないが、外部諮問委員会を本年度内に設けることを目指している。委員は未定だが、被爆者や被爆2世も入る見通しだ。インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の過程も経る。当事者や社会に科学的事実を正確に受け止めてもらえるよう十分な準備をしたい。

  ―現在地の比治山公園(南区)から広島大霞キャンパス(同)への移転計画も動き出しました。
 地元大学との連携が強化され、人的な交流もより可能になる。放影研の研究者が教育に、広島大の教員が放影研の研究に参加するなどだ。それぞれの強みを出し、相乗効果を得られる。病院との連携もより密にできる。成果は被爆者、市民にも還元される。

  ―今後、どのような放影研を目指していきますか。
 放射線防護の基礎をつくった放影研の調査に、多くの被爆者や被爆2世の方が参加されてきたのは信頼があるからだろう。放射線の健康影響に関して世界をけん引する研究機関であり続けるべきだ。最先端の研究を進め、より進化しないといけない。

かみや・けんじ
 1986年、広島大大学院博士課程単位修得退学。広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)所長や福島県立医科大副学長、広島大副学長を経て、6月22日から現職。専門は放射線生物学など。真庭市出身。

(2023年7月9日朝刊掲載)

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