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原爆資料館 本館 免震工法で補強 広島市方針 年度内に設計

 広島市は原爆資料館本館(中区)の耐震補強に、免震工法を採用する方針を固めた。建物の強度を確かめる調査の結果、この工法で震度6強の揺れに耐えられ、建物の外観も保てると判断した。2014年度に詳しい設計をし、16~17年度に工事する。(田中美千子)

 本館の地下を掘り、地中の基礎部分に揺れを吸収する免震ゴムを取り付ける工法。国の重要文化財に指定されている本館の外観を大きく変えないという条件に沿うという。

 本館は1955年に開館。老朽化に伴い市が改修を計画したが、国重文の耐震補強工事は前例がなく、工法をめぐって文化庁との協議が難航していた。

 市は候補に挙がった四つの工法のうち、最も建物の外観を守れる免震工法で十分な耐震性を得られるか裏付けるため、文化財建造物保存技術協会(東京)に建物の強度の調査を委託。コンクリート製の柱や展示室の天井など計9カ所から試料を抜き取って調査した結果、免震工法で建物全体を補強できると結論付けた。

 ただ、天井の3カ所の梁(はり)の強さは建築基準法に定める強度の基準を下回る数値が出た。市は「ただちに危険な状態ではない」としつつ、耐震改修に合わせて補強することにした。

 原爆資料館は全面刷新へ3月18日に東館の改修に着手。本館は東館の完成後に閉館して工事し、18年度の全面オープンを目指す。

(2014年4月2日朝刊掲載)

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