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被爆瓦6700円で落札 出品の英元軍人「反発は予想外」

 広島原爆で焼けただれた屋根瓦の破片が11日、英中部リンカーンで競売に掛けられ、45ポンド(約6700円)で落札された。

 被爆瓦の競売をめぐっては、広島や長崎の被爆者から「売り買いするような物ではない」などと不快感をあらわにする声が上がっていた。

 競売は20ポンドからスタートし、最終的にインターネット経由の参加者が落札。当初、落札額は100ポンドを上回るとの予想もあったが、大幅に下回った。

 出品者は英国の元軍人の男性(81)。香港に駐留していた1952年に広島市へ旅行し、爆心地に近い西蓮寺(中区)を訪問。住職からこの瓦をもらったという。住職の手書きの証明書には「この瓦は原爆の爆発時に10分の1秒間、6千度の熱を浴び、表面がざらめ状になった。西蓮寺敷地内で発見された」などと英語で書いてある。

 男性は「誰か記念品として欲しい人がいるかもしれず、捨ててしまいたくはなかった」と出品の動機を語り、反発が出ることは考えもしなかったという。  被爆者の心情を知り「利益の半分を被爆者への慈善事業に寄付する」としていたが、落札額が予想より低かったため、手数料を除いた利益25ポンドの半額ではあまりにも少なすぎるとして「個人的に200ポンドを日本大使館を通じて被爆者に寄付したい」と話した。

(共同通信2009年7月11日配信、7月12日朝刊掲載)

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