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四国五郎さん死去 89歳 反核平和テーマに画業

 詩人峠三吉の「原爆詩集」の表紙絵など、反戦平和の祈りを込めた画業で知られる画家の四国五郎(しこく・ごろう)さんが3月30日午後1時50分、脳出血のため広島市南区のグループホームで死去した。89歳。三原市出身。葬儀は近親者で済ませた。

 徴兵と3年間のシベリア抑留を経て復員した1948年、弟の被爆死を知って衝撃を受け、画業の方向を定めた。広島市役所に勤める傍ら、49年創刊の詩誌「われらの詩(うた)」に峠や深川宗俊たちと参加、挿絵や反戦詩を寄せた。

 55年、第1回原水爆禁止世界大会に協賛し、柿手春三、増田勉、福井芳郎たちと広島平和美術展を創設。作風は明快な具象で、母子像の秀作を多く発表した。97年、広島文化賞を受けた。

 「われらの詩」などで活動をともにした詩人の御庄博実さん(89)=広島市安佐南区=は「画家として抜きんでた才能があった。挿絵やポスターを快く引き受けてくれる彼にヒロシマの文化運動がどれほど支えられたか、計り知れない」としのんだ。(道面雅量)

(2014年4月2日朝刊掲載)

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