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核への緊張感 示す指先 「ヒロシマ・アピールズ」 中村至男さんポスター完成

 核兵器廃絶や平和への願いを国内外に発信する2023年版の「ヒロシマ・アピールズ」ポスターが完成した。グラフィックデザイナーの中村至男(のりお)さん(55)=東京都渋谷区=が制作し、タイトルは「人差し指」。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、世界の核兵器を巡る緊張感を表現した。

 ビルが立ち並ぶ都市を、人間の巨大な指先が今にも押しつぶそうとする様子を描いた。指は「人間の弱さ」の象徴といい、「核兵器のボタン」を押す行為と、その背景にある世界情勢を想像させる。

 中村さんは11日、広島市役所を訪れ、松井一実市長にポスターを披露。「かつての広島で起きた大変な事を表現するのではなく、つながり続けている今の状況を表した」と説明した。松井市長は「核兵器は他の武器とは違う特異な存在であると知ってもらいたい」と話した。

 ポスター制作は日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)広島地区、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金の主催。1983年に始まり、今回で27作目となる。1800部を印刷し、1枚1100円で原爆資料館(中区)などで販売している。市立中高にも配る。(太田香)

(2023年7月12日朝刊掲載)

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