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人材育成貢献 セネガルで汗 広島大卒の高木さん・津山高専卒の落合さん

 中国地方からアフリカ西部のセネガルに昨年9月に赴任、教師として活動する2人の青年海外協力隊員がいる。広島大(東広島市)教育学部を昨春卒業した高木緑さん(23)は、小学校で図工や音楽などを教える。井原市出身の落合亮太さん(22)は、エンジニア志望の若者が集まる職業訓練センターの教壇に立つ。「同国の人材育成に貢献したい」と、ともに懸命に取り組んでいた。(柳本真宏)

 首都ダカールから東に約200キロ。地方都市ダーラが高木さんの赴任地だ。周辺地域を含めて複数の小学校を回る。30分ほど馬車に揺られ、教えに行くこともある。教室はかやぶきだったりする。

 2月上旬、国際協力機構中国国際センター(JICA中国)の調査団の同国訪問に同行し、高木さんに会った。この日は、工作の授業で児童にのりの付け方などを教えていた。

 現地には、十分な教育を受けてこなかった教師もいる。そのため高木さんが教師の指導役になることも。あまり重点を置かれていない図工や音楽に対し「時間がない」と意欲に欠けた人もおり、当初は戸惑うことも多かった。今は「嫌なことばかり見ず、少しずつ自分の主張をして分かってもらおう」と前向きだ。

 「便利さはないけど、人の気持ちは豊か。きらきらした目をする子どもたちのため頑張る」と意気込む。

 ダーラからさらに90キロほど西に向かう。ルーガにある職業訓練センターで教える落合さんの「教え子」は10代後半から20代前半だ。

 津山高専(津山市)の卒業生。センターでは専門の電子、電気機器について教えているが、基礎となる数学が弱い訓練生が多い。日本の中学生程度の内容を教えることもある。

 現地には教科書もない。自身も教師の経験はなく、着任してから苦労は絶えない。どうにかして学力レベルを上げようと準備していることがある。数学クラブの開設だ。

 「技術者になり、社会の役に立ちたいと明確なビジョンを持っているのには感心しています」と落合さん。同国は製造業が弱く、国の発展のため技術者養成が急務だという。彼らのやる気に応えたい、役に立ちたいとの思いは強まるばかりという。

青年海外協力隊
 政府開発援助(ODA)の予算で国際協力機構(JICA)が派遣。原則は発展途上国で2年、現地政府などが求める分野で活動する。教員、看護師、村落開発など職種は幅広く、ことし2月末現在、アフリカや中南米など70カ国で1774人が活動する。隊員は20~39歳を対象に年2回公募している。4月に中国地方の主要都市で説明会を開く。

(2014年4月3日朝刊掲載)

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