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社説・コラム

『ひと・とき』 原爆孤児友田典弘さんの支援者 徳丸達也さん 高校生と歩く夏の広島

 9歳で原爆孤児になり、朝鮮半島に渡って朝鮮戦争にも遭遇した大阪府門真市の友田典弘(つねひろ)さん(87)。苦難の半生を生き抜いた彼を4年前から支援する。「つらいとは言わない人、そして決して諦めない人やね」

 広島市佐伯区生まれで肉親にも被爆者がいた。1974年の開校以来「戦争と原爆は最大の人権侵害である」という視点から平和教育に取り組む大阪府立松原高に17年間勤務。教員OBとなった後はもう一度、同高の依頼で生徒たちの「ピースワーク」を支援する。ことしは4年ぶりに24日から3日間、広島で基町高美術部、舟入高演劇部との交流などを計画している。

 友田さんは一昨年、被爆当時住んでいた広島市中区大手町6丁目や母校の袋町小などを訪ね、証言した。今回は松原高や広島学院高の生徒たちと一緒に当時の足取りをたどってもらう。「岡本プランを継承する意味もあります」と言う。

 昨年12月に亡くなった岡本貞雄・広島経済大名誉教授は修道高の同級生。岡本さんは「オキナワを歩く」「ヒロシマを歩く」と題したフィールドワークを実践し、友田さんの広島での行動も支えてくれた。大阪暮らしは長いが、広島という自身の原点を確かめる夏にもなるのだろう。大阪府松原市在住。(佐田尾信作)

(2023年7月15日朝刊掲載)

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