×

ニュース

被爆後の記憶 歩いてたどる 大阪の原爆孤児友田さん 同行の広島学院高生らに証言

 爆心地から460メートルの袋町国民学校(現袋町小、広島市中区)で被爆して原爆孤児となり、一時は朝鮮半島に渡った友田典弘(つねひろ)さん(87)=大阪府門真市=が25日、被爆後の自らの足取りを再びたどった。広島学院高(西区)と松原高(大阪府)の生徒約20人が平和学習で同行した。

 被爆時にいた袋町小平和資料館で友田さんは「げた箱で靴を履き替えようとした瞬間、吹き飛ばされた」と振り返った。意識を取り戻して校庭へ出ると、弟たち児童が黒焦げで横たわっていたという。「弟にごめんね、と言って比治山に逃げた」と涙ぐんだ。

 一行は、友田さんが逃げ込んだ防空壕(ごう)があった比治山(南区)へ徒歩で移動。「3日間飲まず食わずの末、外に出ると街に遺体が転がっていた」と語った。広島学院高2年上椙(うえすぎ)大佑さん(16)は「被爆した場所での証言に、当時の惨状を思い浮かべた」と真剣に聞いていた。

 友田さんは原爆で自宅を失い、母は遺体も見つかっていない。父は既に病死しており、間もなく知人と朝鮮半島へ。朝鮮戦争と野宿生活も経験しながら24歳で帰国した。最近は記憶をたどろうと時折広島を訪れており、今回は体験証言で縁のある松原高と、知人のつてで集まった広島学院高の生徒が加わった。松原高3年阪本心優(みゆ)さん(17)は「広島を一緒に歩きながら体験を肌で感じた」と話していた。(湯浅梨奈)

(2023年7月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ