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被爆米兵の実像に迫る 柳井で28日 ドキュメンタリー映画上映 主催の平和記念館 「若い人知ってほしい」

 太平洋戦争末期、米軍の爆撃機が墜落し、収容先の広島で米兵が被爆死した史実を伝えるドキュメンタリー映画が28日、墜落現場の一つとなった柳井市伊陸(いかち)の伊陸公民館で上映される。同所で今年開館した平和記念館が主催する。(山本祐司)

 映画は約60分の「ペーパー・ランタン(灯籠流し)」。米国のバリー・フレシェット監督が2016年に作った。1945年7月28日、呉沖で日本軍の艦艇を爆撃機で攻撃中に対空砲火を受け、伊陸に墜落したラルフ・ニールさんと、別の爆撃機で周防大島沖に不時着したノーマン・ブリセットさんに焦点を当てる。2人は捕虜として広島市内の中国憲兵隊司令部に連行され、8月6日に米軍が投下した原爆の犠牲になった。

 自らも原爆に遭い、被爆米兵を長年調べる広島市西区の森重昭さん(86)の協力を得て、遺族が15年に来日した時の様子も追った。ニールさんのおいが伊陸を訪れ、墜落機を見た時の光景を証言する住民たちと平和の大切さを確かめ合う場面を映す。映画は完成後、柳井市で一度上映された。

 撮影を手伝った住民の武永昌徳さん(72)は1月、私設の平和記念館を開き、史実の継承に努める。住民たちは被爆米兵を悼む「平和の碑」を墜落現場の近くに建てて記憶を伝えてきたが、映画で証言した人も多くが亡くなり、爆撃機が墜落した78年前と同じ日の上映を決めた。「映像を見れば戦争の惨禍をより理解できる。伊陸で起きた事実を若い人に知ってもらいたい」

 上映は午後1時から。無料。森さんも参加する予定。同公民館☎0820(26)0001。

(2023年7月26日朝刊掲載)

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