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峠三吉・原民喜たち4人の日記や手帳 「記憶遺産」3度目申請へ 広島市・市民団体 被爆作家の原稿追加

 市民団体「広島文学資料保全の会」(土屋時子代表)は26日、広島市役所で記者会見を開き、原爆詩人峠三吉たち4人の自筆原稿や手帳など6点を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録へ向け、市と共同申請すると発表した。市との共同申請は3回目で、被爆作家大田洋子(1903~63年)の原稿を新たに加える。

 2015、21年に続く申請となる。今回初めて盛り込むのは、大田の小説「屍(しかばね)の街」(1948年)の自筆原稿で、約300枚ある。白島九軒町(現中区)で被爆した大田が45年8~11月に障子紙やちり紙に書いた草稿を清書したもの。プレスコード下で出版が遅れ、原稿の随所に赤字で削った跡も残る。現在、日本近代文学館(東京)が保管している。

 このほか、前回同様、峠の「原爆詩集」最終稿と日記、メモ▽作家原民喜が被爆直後の惨状を記録した手帳▽詩人栗原貞子が代表作「生ましめんかな」などをつづった創作ノート―も申請する。全6点を「グラウンド・ゼロの記憶 被爆作家の8月6日の記録」と名付けた。土屋代表は「作家たちが命をかけて書き残した言葉だ」と強調し、「原爆の悲惨さを伝える手段として今こそ文学の力が大事」と述べた。

 公募締め切りの来月28日までに、広島市の松井一実市長と連名で申請書を提出。国内の審査委員会の選定を経て関係省庁連絡会議が11月に推薦案件を決定し、25年にユネスコが発表する。(桑島美帆)

(2023年7月27日朝刊掲載)

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