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手帳所持者6割 広島被爆 昨年3月末時点 市調査で内訳判明

 被爆者健康手帳を持つ国内外の被爆者のうち6割は広島、4割は長崎で原爆に遭っていることが、広島市の独自調査で分かった。厚生労働省は年度ごとに手帳の所持者数を公表しているが、広島、長崎の被爆地別の人数は調べておらず、内訳が分かるのは初めて。

 手帳は広島、長崎両市と都道府県が交付している。広島市は今回、全国の各自治体に対し、昨年3月末時点の被爆地別の所持者を調べるよう求めた。回答を積み上げた結果、広島被爆が全体の6割に当たる7万1578人、長崎被爆は4割の4万6794人だった。

 「被爆地不明」の356人を加えると、所持者の総数は11万8728人。未回答も1県あり、厚労省がまとめた同期の総数より207人少なかった。

 都道府県別にみると、広島被爆の8割は中国地方5県に集まる。他の25都道府県でも、長崎被爆より人数が多かった。広島市を含む広島県内の所持者は5万3965人で、うち長崎被爆は478人(0・9%)だった。一方、長崎被爆は8割近くが九州地方に集中。長崎市を含む長崎県では3万942人が手帳を所持し、広島被爆はうち515人(1・7%)だった。

 調査は2年前、市民の要望をきっかけに始めた。広島市原爆被害対策部は「援護行政を進めていく上で有益な情報だと判断した」と説明。今年3月末時点の手帳所持者についても同様の調査を進めており、今秋にも新たなデータをまとめるという。(編集委員・田中美千子)

(2023年7月28日朝刊掲載)

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