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曽祖父の写真から平和考えて きのこ雲撮影 広島の松重さんひ孫 式典の「誓い」 検討に参加

 8月6日の広島原爆の日の平和記念式典でこども代表が読む「平和への誓い」は、市内の小学6年生20人が検討会議で出した意見を基にしている。その一人、段原小の松重純怜(すみれ)さん(12)=広島市南区=は原爆投下直後にきのこ雲を撮影した松重三男さん(1989年に78歳で死去)のひ孫。残された写真を見つめ、感じたことを伝えた。

 20人は1万737人の応募作文から選抜された。純怜さんは「曽祖父は爆心地から7キロ離れた家に住んでいました。突然目が開けられないほどのまぶしい光を爆風とともに、広島の空にオレンジ色の球が上昇するのを目撃したそうです」と作文に記した。

 昨年、曽祖父の体験を初めて知った。国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)の企画展で三男さんがきのこ雲を撮影したカメラが展示され、祖父の博さん(75)に連れられて見学した時のことだった。「身近な人が原爆の惨状を目の当たりにしていたことは想像もしていなかった」という。

 78年前、広島県職員でレントゲン技師だった三男さんは安佐郡古市町(現安佐南区)の自宅付近できのこ雲を捉えた。原爆さく裂から2分後と約30分後、正午ごろに計3枚を撮影した。負傷者を乗せたトラックを撮影した1枚も。カメラは78年に三男さんが原爆資料館に寄贈した。

 6月下旬、純怜さんは「平和への誓い」の文面を考える検討会議で「平和はお金で買えず、みんなの努力で築くもの」「被爆証言を聞いて、原爆資料館で実物の遺品や写真を見て想像してほしい」と発表した。曽祖父の体験を知り、ロシアによるウクライナ侵攻など戦争のニュースがこれまで以上に人ごとでないと感じる。「絶対に戦争をしてはいけないと伝えたい」(湯浅梨奈)

(2023年7月28日朝刊掲載)

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