×

ニュース

被爆体験伝承研修 広島市が要件緩和 市民グループ、署名終える

 被爆者に代わって体験を語る広島市の「被爆体験伝承者」や研修生らでつくる市民グループが27日、担当する被爆者の死去や体調不良の場合は研修を打ち切るとしていた市の方針を巡り中区内で会合を開いた。見直しを求める賛同署名を集めていたところ、市は今月、要望に添う形で要件を緩和。これを受けて署名活動を終えることを決めた。

 「被爆体験伝承を未来につなぐ市民の会」の16人が集った。伝承者の藤川晴美さん(68)=安佐北区=は昨年12月から集めてきた1817人分を31日に市平和推進課へ提出すると報告。要件緩和により「これで、研修を断念した人がもう一度報われる道筋ができた」と手応えを語った。

 続いて、伝承制度の現状について意見を交換。「すでに活動中の伝承者が高齢の被爆者と研修生を支援する体制が必要」「伝承者同士のネットワーク強化を」などの声が上がった。今後、意見を市に要望する。甲斐晶子さん(67)=東区=は「被爆伝承の将来に危機感を抱く人は多い。さまざまな声を行政に届けたい」と話した。(新山京子)

(2023年7月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ