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[NPT準備委] ヒロシマの訴え 世界へ 第1回 きょう開幕 被爆者・生徒、演説や署名

 核兵器廃絶へ国際社会が岐路に立つ中、2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会が31日、オーストリア・ウィーンで始まる。約190カ国・地域が8月11日まで、核軍縮、不拡散の現状や方策を議論する。被爆者や被爆地の若者、首長たちも現地入りし、「核兵器のない世界」の実現へ政治的な決断と行動を国際社会に迫る。(ウィーン発 宮野史康)

 準備委は初日、各国政府代表たちが自国の考えを述べる一般討論を始める。8月2日には、非政府組織(NGO)による意見表明の枠を設ける。その後、NPTの3本柱に沿い、3日から核軍縮、7日から核不拡散、9日から原子力の平和利用を討議。最終日の11日に、論点を網羅的に記した議長総括をまとめる。

 NGO枠では、広島で被爆した日本被団協の家島昌志代表理事(81)=東京=が演説する。被爆20年後にがんで亡くなった父親の話に触れ、各国に核兵器廃絶の道筋づくりを求める。平和首長会議の会長を務める広島市の松井一実市長は、被爆地で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の意義を紹介する。

 準備委の会合以外でも、広島の関係者が精力的に活動する。広島女学院、修道、舟入、盈進各高の生徒8人は7月31日、核兵器禁止条約への参加を各国政府に求める署名を国連幹部に届ける。8月1日には各国の若者とのフォーラムに参加し、被爆者の思いを受け継ぐ取り組みを紹介する。広島県の湯崎英彦知事は1、2日、それぞれ持続可能性、核抑止論の克服を議題にした行事に参加する。

 NPT再検討会議は15、22年と2回続けて決裂。ウクライナに侵攻し「核の脅し」を繰り返す核超大国ロシアと米欧の対立や、核兵器禁止条約を巡る保有国と非保有国の隔たりなど厳しい国際情勢で、NPT体制の立て直しや核軍縮の進展を図れるかが焦点となる。

(2023年7月31日朝刊掲載)

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